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【資本政策】資金調達イベントを入力する
【資本政策】資金調達イベントを入力する
Keigo Nagai avatar
対応者:Keigo Nagai
一週間前以上前にアップデートされました

資金調達では『株式の発行による資金調達』と『新株予約権の発行による資金調達』を選択することができます。

「株式の発行による資金調達」とは株式会社がその設立後に、募集に応じて株式の引受けの申込みをした者に対して株式を割当て、増資を行うものです。第三者割当増資、株主割当増資を含みます。

「新株予約権の発行による資金調達」とは株式会社が、新株予約権を社外に発行することによりそのオプション料を得る形で資金調達をするものです。J-KISS型新株予約権などのコンバーティブル・エクイティの発行がこれにあたります。

資本政策のイベント追加は「資本政策にイベントを追加」から実施いただけます。

株式の発行

「株式発行による資金調達」を選択し、イベント名と実施日を入力します。

「普通株式」もしくは「優先株式」を選択します。

普通株式・優先株式を問わず、株式の発行ではプレマネー・調達金額・株価・新規発行株式数を入力するフィールドがあります。これらは相互関係にあるため、いずれか2つを入力するとその他の項目が自動的に計算されます。

これらはスマートラウンドではに以下のように計算されます。

・「ポストマネー」=「プレマネー」+「調達金額」

・「プレマネー」=「株価」 × 「資金調達直前における完全希薄化後総株式数」

・「調達金額」=「株価」×「新規発行株式数」

調達額・発行する株式数が決まったら割当先を決めます。

割り当てた株式数に応じて株主の持分比率が自動的に計算されます。

株主未確定の場合(すなわち将来のイベントの場合)、「仮の付与対象で計算」を選択することで割当先を記入せずともイベントを作成することができます。

※優先株式の発行も残余財産優先分配権や希薄化防止条項等を入力するフィールドが追加されるだけで入力する数値は基本的に普通株式と同じです。

優先株式とは

優先株式とは、種類株式のひとつで配当または残余財産分配もしくはその両方を他の株式に対して優先的に受け取る権利が与えられた株式のことを指します。また、スタートアップの資金調達で使う優先株式は、通常、ファイナンス・ラウンド毎に新たに発行され、最初に発行したものをA種優先株式、次に発行したものをB種優先株式というように順番に名前を付けていきます(ちなみに、これがシリーズAという名前の由来です。

希薄化防止条項について

希薄化防止条項とは、既発行の優先株式の株価を下回る金額で新規株式が発行された場合(ダウンラウンドが行われた場合)、既発行の優先株式の転換価額を下げることにより、転換後ベースの株式数を増加させる為、既存株主の持分比率の低下を防止するという規定です。

優先株式で投資をする投資家目線では、業績の悪化などに伴うダウンラウンドが行われたとしても持分比率の低下を抑えることができるため有利な条項となります。一方で普通株式の株主目線では、希薄化防止条項がない場合よりもダウンラウンド時の持分比率が低下することになります。

スタートアップにとっては、「調整なし」が最も有利な条項で、以後「ブロードベース加重平均」「ナローベース加重平均」「フル・ラチェット」の順に条件が悪化していきます。

資本政策smartroundではダウンラウンド発生時に希薄化防止条項の条件に応じて完全希薄化後株式数が自動調整される機能が備わっています。

希薄化防止条項の種類

資本政策smartroundで利用できる希薄化防止条項は以下の種類があります。

①調整なし

希薄化防止条項がないケースです。

自動調整は行われません。

②フルラチェット方式

(転換比率)=(基準価額)/(転換価額)として計算されます。転換価額はダウンランド時点での株価と等しくなります。

基準価額は発行時の株価と等しくなります。(但し、株式分割・併合があった際には基準価額は分割・併合比率で除算・乗算された値に変化します。)

下の画像のA種優先株式を例に取ると、シリーズB株式株価の40,000円が転換価額、シリーズA株価の50,000円が基準価額となります。よって、

50,000(基準価額)/40,000(転換価額)=1.25(転換比率)となります。この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、1,000(A種優先株式数)×1.25(転換比率)=1,250株と計算されます。(※小数点以下は切り捨て)

③ナローベース加重平均方式・ブロードベース加重平均方式

(転換価額)=(A × B + C)/ (B + D)

A:当該調整前優先株式取得価額

B:既発行株式数

C:新規発行による調達金額

D:新規発行株式数

※小数点以下は切り捨て

ナローベース加重平均方式とブロードベース加重平均方式は同じ計算式を利用します。但し、ナローベースの場合は、「既発行株式数」は「顕在株式のみ(普通株式+優先株式のみ)」とするのに対し、ブロードベースの場合は「潜在株式を含む総株式(普通株式+優先株式+新株予約権)」とするという違いがあります。

下の画像のA種優先株式を例に取ると、「当該調整前優先株式取得価額」は50,000円、「既発行株式数」は11,250株(新株予約権を発行していない為ナローベース、ブロードベース共に同じ値)、「新規発行による資金調達」は80,000,000円、「新規発行株式数」は2,000株となるため、

転換価額は48,490円となります。この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、

50,000,000/48,490=1,031株と計算されます。

(※小数点以下は切り捨て)


新株予約権(コンバーティブル・エクイティ)の発行及び転換

「新株予約権発行による資金調達」を選択し、イベント名と実施日を入力します。

次に種別を選択してください。

(J-KISS 1.x系、J-KISS 2.x系、SAFE、その他から選択できます。)

コンバーティブル・エクイティでの調達の場合、株価は転換時に決定するためプレマネー・株価といった概念は存在しません。その代わりに、調達金額/ディスカウント/キャップ/適格資金調達の条件を入力いただく必要があります。

自動転換をONにしていると新株予約権の転換は、新株予約権による資金調達イベントで入力した適格資金調達の条件を満たすような資金調達イベントが起きたタイミングで自動的に実施されます。

※自動転換をOFFにしている場合は、自動的に新株予約権の転換は行われません。新株予約権を転換したいタイミングでイベントの「その他」から手動で転換を行ってください。

また、資本政策にJ-KISS1.x系とJ-KISS2.x系が混在している場合は転換イベントは自動生成されません。

発行数が決まったら割当先を決めます。

J-KISS発行時点では完全希薄化後株式数にJ-KISS発行数は含まれません。
なぜなら、発行時点ではディスカウントベースでもキャップベースでも転換される可能性がある(発行時点では株数が確定しない)ことから発行時点では完全希薄化後株数には計上されない仕様となっているためです。

株主未確定の場合(すなわち将来のイベントの場合)、「仮の付与対象で計算」を選択することで割当先を記入せずともイベントを作成することができます。

J-KISSの転換後の持株比率は反映できないでしょうか?

・反映することができません。

J-KISSは適格ファイナンスにおける単価やバリュエーションによって転換後株式数が算出され、転換後の株式数を定めることができないため反映しない仕様としています。

ただし、J-KISS型新株予約権は適格ファイナンスに該当するイベントを資本政策上で作成することで、事前に入力したディスカウントまたはキャップに応じて転換イベントが自動生成されます。そのため、転換後の持株比率はこちらの機能を用いてシミュレーションすることで対応していただけます。

※資本政策にJ-KISS1.x系とJ-KISS2.x系が混在している場合は転換イベントの自動生成はされません。

転換イベントの作成方法

自動転換をONにしていた場合、コンバーティブル・エクイティの転換イベントは手動で作成するのではなく、コンバーティブル・エクイティのイベント作成時に設定した適格資金調達の条件を満たすイベントが作成された際に自動的に作成される仕様となっております。

そのため転換を反映させるには、発行時に設定した条件(プレマネーや調達金額)を満たすような資金調達イベントを作成ください。プレマネー・調達金額両方の条件が入力されていた場合は、転換されるために両方の条件ともに満たすような資金調達である必要があります。

J-KISSの詳細な転換ロジックについては参考記事をご覧ください。

コンバーティブル・エクイティとは

コンバーティブル・エクイティには、いくつかストラクチャーの違うものがありますが、ここでは現在、一番普及しているJ-KISSに限定してご説明します。

J-KISSは(当時の)500 Startups Japanが、本家500 Startupsの提供しているKISSを土台にして日本版に作り変えた、有償の転換価格調整型の新株予約権です。

これはつまり、一定の条件で次の資金調達がされた時に、予め決めておいた法則で、その資金調達の際に使う株式に転換することができる新株予約権を、資金の拠出と引き換えに投資家に交付する資金調達の手法です。

J-KISSの特徴としては、バリュエーションを先送りすること(調達時に決めないこと)ができること、契約書のテンプレートをそのまま使うので契約書のレビューの負荷が低いことがあげられます。またコンバーティブル・ノートのように負債ではないので、返済の義務もありませんし、資金調達の結果、B/S上の債務超過に陥ることもありません。

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