<イベントの追加方法>
シミュレーション用の資本政策のイベント追加は「資本政策にイベントを追加」から行えます。
<資金調達イベントの種類>
追加できる資金調達イベントは以下の3種類です。
1.株式発行による資金調達
2.新株予約権発行による資金調達
3.新株予約権付社債発行による資金調達
1.株式発行による資金調達
STEP1.イベント基本情報の入力
「株式発行による資金調達」を選択し、イベント名と実施日を入力します。
STEP2.発行条件の入力
「普通株式」もしくは「優先株式」を選択します。
普通株式・優先株式を問わず、株式の発行ではプレマネー・調達金額・株価・新規発行株式数を入力するフィールドがあります。
これらは相互関係にあるため、いずれか2つを入力するとその他の項目が自動的に計算されます。
これらはスマートラウンドではに以下のように計算されます。
・「ポストマネー」=「プレマネー」+「調達金額」
・「プレマネー」=「株価」 × 「資金調達直前における完全希薄化後総株式数」
・「調達金額」=「株価」×「新規発行株式数」
STEP3.株主状況の入力
調達額・発行する株式数が決まったら割当先を決めます。
割り当てた株式数に応じて株主の持分比率が自動的に計算されます。
株主未確定の場合(すなわち将来のイベントの場合)、「仮の付与対象で計算」を選択することで割当先を記入せずともイベントを作成することができます。
※優先株式の発行も残余財産優先分配権や希薄化防止条項等を入力するフィールドが追加されるだけで入力する数値は基本的に普通株式と同じです。
優先株式とは
優先株式とは、種類株式のひとつで配当または残余財産分配もしくはその両方を他の株式に対して優先的に受け取る権利が与えられた株式のことを指します。また、スタートアップの資金調達で使う優先株式は、通常、ファイナンス・ラウンド毎に新たに発行され、最初に発行したものをA種優先株式、次に発行したものをB種優先株式というように順番に名前を付けていきます(ちなみに、これがシリーズAという名前の由来です。
希薄化防止条項について
希薄化防止条項とは、既発行の優先株式の株価を下回る金額で新規株式が発行された場合(ダウンラウンドが行われた場合)、既発行の優先株式の転換価額を下げることにより、転換後ベースの株式数を増加させる為、既存株主の持分比率の低下を防止するという規定です。
優先株式で投資をする投資家目線では、業績の悪化などに伴うダウンラウンドが行われたとしても持分比率の低下を抑えることができるため有利な条項となります。一方で普通株式の株主目線では、希薄化防止条項がない場合よりもダウンラウンド時の持分比率が低下することになります。
スタートアップにとっては、「調整なし」が最も有利な条項で、以後「ブロードベース加重平均」「ナローベース加重平均」「フル・ラチェット」の順に条件が悪化していきます。
資本政策smartroundではダウンラウンド発生時に希薄化防止条項の条件に応じて完全希薄化後株式数が自動調整される機能が備わっています。
※取得請求権に定められる希釈化防止条項と、証券の詳細情報の「残余財産優先分配権」の項目の(投資額の○倍、参加型/非参加型、パリパス有無)は無関係です。残余財産優先分配権は、あくまでも会社精算時に適用されるものです。
希薄化防止条項の種類
資本政策smartroundで利用できる希薄化防止条項は以下の種類があります。
②フルラチェット方式
②フルラチェット方式
(転換比率)=(基準価額)/(転換価額)として計算されます。転換価額はダウンランド時点での株価と等しくなります。
基準価額は発行時の株価と等しくなります。(但し、株式分割・併合があった際には基準価額は分割・併合比率で除算・乗算された値に変化します。)
下の画像のA種優先株式を例に取ると、シリーズB株式株価の40,000円が転換価額、シリーズA株価の50,000円が基準価額となります。よって、
50,000(基準価額)/40,000(転換価額)=1.25(転換比率)となります。この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、1,000(A種優先株式数)×1.25(転換比率)=1,250株と計算されます。(※小数点以下は切り捨て)
③ナローベース加重平均方式・ブロードベース加重平均方式
③ナローベース加重平均方式・ブロードベース加重平均方式
転換価額を、ダウンラウンド時の株価にそのまま置き換えるのではなく、取得時の株価とダウンラウンド時の株価の加重平均にするものです。
(転換価額)=(A × B + C) / (B + D)
A:当該調整前優先株式取得価額
B:既発行株式数
C:新規発行による調達金額
D:新規発行株式数
※小数点以下は切り捨て
ナローベース加重平均方式とブロードベース加重平均方式は同じ計算式を利用します。但し、ナローベースの場合は、「既発行株式数」は「顕在株式のみ(普通株式+優先株式のみ)」とするのに対し、ブロードベースの場合は「潜在株式を含む総株式(普通株式+優先株式+新株予約権)」とするという違いがあります。
下の画像のA種優先株式を例に取ると、「当該調整前優先株式取得価額」は50,000円、「既発行株式数」は11,250株(新株予約権を発行していない為ナローベース、ブロードベース共に同じ値)、「新規発行による資金調達」は80,000,000円、「新規発行株式数」は2,000株となるため、
転換価額は48,490円となります。この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、
50,000,000/48,490=1,031株と計算されます。
(※小数点以下は切り捨て)
2.新株予約権発行による資金調達(コンバーティブル・エクイティ)
コンバーティブル・エクイティでの資金調達の場合、転換時に株価や株数が決定するため、調達時点ではプレマネーや株価の入力は不要です。
代わりに、新株予約権の「発行数」と「1個あたりの払込金額」を設定します。
STEP1.イベント基本情報の入力
イベント区分「新株予約権発行による資金調達」を選択し、「イベント名」と「実施日」を入力します。
STEP2-1.発行条件の入力
「種別」をプルダウンより選択し「証券名」「発行数」「1個あたりの払込金額」を入力します。「種別」はJ-KISS 1.x系、J-KISS 2.x系、SAFE、その他から選択できます。
「発行数」と「1個あたりの払込金額」を入力すると「調達金額」が自動で算出されます。
STEP2-2.転換条件、適格資金調達の入力
新株予約権の転換条件として、「ディスカウント」「キャップ」「1個あたりの行使価額」を入力します。
適格資金調達として「プレマネー」「調達金額」を入力します。
※新株予約権の転換イベントを自動で作成したい場合は、「自動転換」を「ON」に設定し、「転換条件」と「適格資金調達」を入力する必要があります。
STEP3.付与対象者状況の入力
新株予約権を保有者に付与します。
「追加」ボタンをクリックして入力行を増やせます。
付与対象者が未定の場合は、「仮の付与対象で計算」を選択します。
新株予約権(コンバーティブル・エクイティ)の転換
新株予約権の転換イベントは、自動で作成する方法と手動で作成する方法があります。
転換イベントを自動で作成する
新株予約権の転換イベントは、以下条件を満たす場合に自動で作成されます。
新株予約権発行による資金調達イベントに「転換条件」と「適格資金調達」が設定され、自動転換がONになっている。
「適格資金調達」に設定した条件を満たす資金調達イベントが作成される。
J-KISS1.x系とJ-KISS2.x系が同一資本政策上に混在していない。
STEP1.新株予約権発行による資金調達イベントの確認
新株予約権発行による資金調達イベントに、自動転換に必要な項目が設定されているか確認します。
転換条件に「ディスカウント」「キャップ」「1個あたりの行使価格」が設定されていることを確認します。
適格資金調達に「プレマネー」「調達金額」が設定されていることと、「自動転換」が「ON」となっていることを確認します。
STEP2.適格資金調達の条件を満たす資金調達イベントの入力
STEP1.で確認した「適格資金調達」に設定されている条件を満たす資金調達イベントを作成します。
新株予約権の転換イベント「新株予約権型CE転換」が自動で作成されます。
なお、自動で作成される転換イベントは発生タイミングや転換後の証券種別、証券保有者、取引単価、増減数量等の変更ができません。
転換後の情報が実態と異なる場合は、自動転換をOFFにして、転換イベントを手動で作成して下さい。
転換イベントを手動で作成する
新株予約権の転換イベントを手動で作成する方法です。
STEP1.新株予約権転換イベントの入力
イベント区分「その他」を選択し、イベント名と実施日を入力します。
証券に転換元の新株予約権を選択し、増減数量を「−(マイナス)」で入力してください。
「追加」ボタンをクリックして入力行を増やします。
証券に転換後の株式を選択して、増減数量を「+(プラス)」で入力します。
参考記事:【資本政策】J-KISSの仕組み
3.新株予約権付社債発行による資金調達(コンバーティブル・ボンド)
STEP1.イベント基本情報の入力
イベント区分「新株予約権付社債発行による資金調達」を選択し、「イベント名」と「実施日」を入力します。
STEP2.発行条件の入力
「証券名」「発行個数」「1個あたりの払込金額」を入力します。
「発行個数」と「1個あたりの払込金額」を入力すると「調達金額」が自動で算出されます。
STEP3.付与対象者状況の入力
「付与対象者を入力」または「仮の付与対象者で計算」のいずれかを選択します。
「付与対象者を入力」を選択した場合、プルダウンから「付与対象者」を選択し、「付与数」を入力してください。
※複数の「付与対象者」がいる場合は、「追加」ボタンで対象者を追加できます。
<ご注意>
新株予約権付社債は発行時点では行使される株式数が確定していないため、
完全希薄化後の株式数に反映されません。
新株予約権付社債(コンバーティブル・ボンド)の転換
STEP1.イベント基本情報の入力
イベント区分「新株予約権付社債転換」を選択し、「イベント名」と「実施日」を入力します。
STEP2.転換する証券の選択
「転換元新株予約権付社債」と「転換先株式種類」を選択します。
STEP3.保有者と転換数の入力
「保有者」を選択して、「転換前個数」と「転換後株数」を入力します。
4. イベントの編集・削除
登録した該当イベントの「実施日」の右側三点リーダーから編集・消去できます。
5.よくあるご質問
Q1.J-KISSが自動転換されないのですがなぜですか?
A1.以下5点をご確認ください。
J-KISSが自動転換されない主な要因として、以下の点をご確認ください。
<チェック項目>
1.J-KISSの証券種別は「J-KISS1.x系」または「J-KISS2.x系」になっていますか?
2.J-KISS発行イベントに転換条件は入力されていますか?
3.J-KISS発行イベントに適格資金調達の条件は入力されていますか?
4.設定した適格資金調達の条件を満たすイベントは発生していますか?
適格資金調達の条件は1つのイベントで条件を満たす必要があります。複数イベントの合算した調達金額で条件を満たすような場合には自動転換はご利用いただけません。
5.「J-KISS1.x系」と「J-KISS2.x系」が同一資本政策上に混在していませんか?
同一資本政策上に混在している場合、自動転換はご利用いただけません。
4,5に該当する場合、自動転換機能をOFFにして、手動で転換イベントを追加してください。
参考記事:転換イベントを手動で作成する
上記いずれにも該当せず、原因がわからない場合は右下のチャットアイコンより状況を交えてお問い合わせください。
Q2.J-KISS発行時点で、転換後の持株比率は反映できないでしょうか?
A2.反映することができません。
J-KISSは適格資金調達における単価やバリュエーションによって転換後株式数が算出され、発行時点では転換後の株式数を定めることができないため反映しない仕様としています。
ただし、J-KISSは適格資金調達に該当するイベントを資本政策上で作成することで、事前に入力したディスカウントまたはキャップに応じて転換イベントが自動生成されます。そのため、転換後の持株比率はこちらの機能を用いてシミュレーションすることで対応していただけます。
Q3.J-KISS発行時点で、完全希薄化後株式数にJ-KISS発行数は含まれますか?
A3.J-KISS発行時点では完全希薄化後株式数にJ-KISS発行数は含まれません。
発行時点ではディスカウントベースでもキャップベースでも転換される可能性がある(発行時点では株数が確定しない)ことから、発行時点では完全希薄化後株数には計上されない仕様となっています。
Q4. 自動転換機能を使っている時、転換前後の情報が実態と異なるのですがどうすればいいですか?
A4.自動転換機能をOFFにして、手動で転換イベントを追加してください。
小数点以下の端数処理やイベントの登録順序の違いによって、場合によっては実態の転換情報と異なることがあります。
例:転換後の株式数が合わない、適格資金調達時のプレマネー(※)が異なる
※自動転換イベントは適格資金調達に該当するイベントの直前に作成されるため、適格資金調達時におけるプレマネーは「J-KISS転換後の株式数を反映した完全希薄化後株式数」×「株価」で計算されます。
実態と異なる場合には、自動転換機能をオフにして、手動で転換イベントを追加してください。
参考記事:転換イベントを手動で作成する



























