smartroundでは、優先株式に「希薄化防止条項」を設定できます。
それぞれの概要と、各方式の計算方法を説明します。
優先株式とは
優先株式とは、種類株式のひとつで配当または残余財産分配もしくはその両方を他の株式に対して優先的に受け取る権利が与えられた株式のことを指します。
また、スタートアップの資金調達で使う優先株式は、通常、ファイナンス・ラウンド毎に新たに発行され、最初に発行したものをA種優先株式、次に発行したものをB種優先株式というように順番に名前を付けていきます(ちなみに、これがシリーズAという名前の由来です。)
希薄化防止条項とは、既発行の優先株式の株価を下回る金額で新規株式が発行された場合(ダウンラウンドが行われた場合)、既発行の優先株式の転換価額を下げることにより、転換後ベースの株式数を増加させる為、既存株主の持分比率の低下を防止するという規定です。
優先株式で投資をする投資家目線では、業績の悪化などに伴うダウンラウンドが行われたとしても持分比率の低下を抑えられるため有利な条項となります。
一方で普通株式の株主目線では、希薄化防止条項がない場合よりもダウンラウンド時の持分比率が低下することになります。
スタートアップにとっては、「調整なし」が最も有利な条項で、以後「ブロードベース加重平均」「ナローベース加重平均」「フル・ラチェット」の順に条件が悪化していきます。
資本政策smartroundではダウンラウンド発生時に希薄化防止条項の条件に応じて完全希薄化後株式数が自動調整される機能が備わっています。
取得請求権に定められる希釈化防止条項では、証券の詳細情報の「残余財産優先分配権」の項目の(投資額の○倍、参加型/非参加型、パリパス有無)は考慮されません。
残余財産優先分配権は、あくまでも会社精算時に適用されるものです。
希薄化防止条項の種類
smartroundで設定できる「希薄化防止条項」は以下の種類から選択できます。
1.調整なし
希薄化防止条項がないケースです。自動調整は行われません。
2.フルラチェット方式
(転換比率)=(基準価額)/(転換価額)として計算されます。転換価額はダウンラウンド時点での株価と等しくなります。
基準価額は発行時の株価と等しくなります。(但し、株式分割・併合があった際には基準価額は分割・併合比率で除算・乗算された値に変化します。)
下図のA種優先株式を例に取ると、シリーズB株式株価の40,000円が転換価額、シリーズA株価の50,000円が基準価額となります。
よって、
50,000(基準価額)/ 40,000(転換価額)= 1.25(転換比率)となります。
この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、1,000(A種優先株式数)× 1.25(転換比率)= 1,250株と計算されます。(※小数点以下は切り捨て)
3.ナローベース加重平均方式・ブロードベース加重平均方式
転換価額を、ダウンラウンド時の株価にそのまま置き換えるのではなく、取得時の株価とダウンラウンド時の株価の加重平均にするものです。
(転換価額)=(A × B + C) / (B + D)
A:当該調整前優先株式取得価額B:既発行株式数C:新規発行による調達金額D:新規発行株式数
※小数点以下は切り捨て
ナローベース加重平均方式とブロードベース加重平均方式は同じ計算式を利用します。
ただし、ナローベースの場合は「既発行株式数」を「顕在株式のみ(普通株式+優先株式のみ)」とするのに対し、ブロードベースの場合は「潜在株式を含む総株式(普通株式+優先株式+新株予約権)」とするという違いがあります。
下図のA種優先株式を例に取ると、「当該調整前優先株式取得価額」は50,000円、「既発行株式数」は11,250株(新株予約権を発行していない為ナローベース・ブロードベース共に同じ値)、「新規発行による資金調達」は80,000,000円、「新規発行株式数」は2,000株となるため、転換価額は48,490円となります。
この時、優先株式の完全希薄化後株式数は、50,000,000 / 48,490 = 1,031株(※小数点以下は切り捨て)と計算されます。
参考記事:【資本政策】資金調達イベントを入力する



